LLCグロウイング&コミュニケーションコーチング協会

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面白いぞ「社会心理学」!!

GCCAでコミュニケ-ション&コーチングを共に学んでいる人達(音楽講師の方等)と毎年、テーマを決めて勉強会を月一度(約6ケ月)開いています。今年のテーマは「人のやる気についての理解」なのですが、勉強会の準備をする段階で面白い本に出会いました。
「社会心理学ショートショート・実験でとく心の謎」岡本浩一著(新曜社)です。
社会心理学では様々な実験によって研究をするのですが、氏はその実験室を「真っ白な五線譜のようなもの」と形容し、様々な実験研究とその理論を紹介してくれています。本では第1章「個人と集団」〜第7章までが綴られており、先の勉強会の準備の中で「偽薬効果・逆偽薬効果」について勉強していたのですが、同著にもその実験の詳細が記されており、繋がっていることを感じた次第です。
さて、そんなことより今日は「社会心理学ショートショート」の第1章の要約をご紹介しようと思います。
難しい理屈ではなく、人の心理にきっと強い関心を持たれるのではないかと思います。
【個人と集団】
(1) 同調の古典的パラダイム
アッシュのパラダイム;相手が一人の時には殆ど同調は起こらないが、二人になると、同調する場合が増加し、三人になると約32%(1/3)が同調するようになる。それ以後相手の人数が増えても同調率は上昇しない。また、多人数の場合、同意者が一人でもいると、意見を変えず、同調への圧力は大幅に軽減される。尚、多人数の中にいた同意者がいなくなっても、同意者の支持が想定できる場合には、同調への抵抗は完全に失われないが、その同意者が自分への支持を止めてしまうと、同調への抵抗がほぼ完全に失われる。
(2) 実験室のナチズム;スタンレー・ミルグラム(ユダヤ系米国人)。ナチスによるユダヤ人大量殺戮を普通の人々の社会心理学的な問題として捉えて実験を行った。残虐行為が長期間、組織的に行われたのは、ごく普通の兵隊たちが、良心に耳をふさぎながら命令に盲従し続けたからに他ならない。人とはそんなに命令に弱い存在なのかを立証しようとしたのである。実験の結果、被験者は相手の苦痛や危険を認識し、道徳的葛藤を感じつつも、命令に従い続け、65%もの被験者が最後まで服従する結果になった。人はそれほど命令に弱い存在なのである。監督者の権威など、服従を更に高める条件はいくつか見出されたが、服従を低くする条件はあまり見つからなかった。人の服従が予想外に高いことを示した研究として、この実験は広く知られている。
(3) 模擬監獄=役割は人をこんなにも変える;ジンバルドの模擬監獄実験。実験は予想外の成功をみた。看守の行動が上司への同調や服従ではなく、役割の内面化によるものであった。また、囚人役の人達も囚人の役割が内面化し、約半数が抑うつ、号泣、怒り、不安などの病的徴候を示した。内、一人は心因性発心の治療をする必要があるほど症状がひどく、実験は六日目で中止せざるを得なくなった。この研究を契機に、ジンバルドはアイデンティティ喪失についての研究を深め、1969年に「脱個人化の理論」を発表する。
(4) 衆人環視のパラドックス;ビップ・ラタネの実験;人が大勢いるのに誰も何もしない。しかし、人が大勢いるからこそ誰も何もしないという仮説を立て、実験によって証明することに成功した。被験者のそばに誰もいないときには、約70%の率で援助行動が起きるのに対して、誰かが一緒にいて、しかもその人が緊急事態に無関心な様子である場合、援助行動は著しく妨げられ、最終的にも7%の比率でしか援助が行われなくなる。人と一緒にいると手を差しのべにくいのである。他者がいると何故援助行動抑止されやすいのか。ラタネはさらに研究を重ね、他者の存在は、事態の緊急性の解釈に社会的影響を与え、さらに、責任感の拡散を引き起こすという結論に至る。つまり、自分がしなくても誰かが手を貸すだろうということである。
(5) チームワークと社会的手抜き;リングルマン(ドイツ人研究者)は綱引き実験で一人よりも二人、二人よりも三人と仲間が増える毎に一人の出す力は減少し、八人になると、人は半分の力しか出さない、ということを示した。しかし、この実験はそばに人がいることによる作業効率の低下の問題と分けて捉えていない難点があった。その50年後、ラタネ、ウィリアムズ、ハーキンズの3人が被験者に目隠し大声で叫ばせて音量をはかる実験を行った。実験の結果、単独の時は自己の努力がはっきり分かるが、集団になると貢献度がはっきりしないので社会的手抜きが起こることが示された。しかし、個人の評価が可能な条件の場合には社会的手抜きが起こらないことも示された。この研究の主導者ラタネは、集団の人数、各個人と集団とのあり方や事態の緊急性と、社会的圧力との関係について、1973年に「社会インパクト理論」を発表し、大勢に中で人はどうなるのか、舞台の上でアガルという現象等、をこの理論で説明解釈しようと試みている。

さて、いかがでしたか。第2章以降も今後ご紹介させて頂く予定です。
では、今日はこのへんで!