GCCAについて
GCCAについて
『ことばならざることば』非言語コミュニケーションについて。
ポール・エックマンとウォレス・V・フリーセンの二人の学者は、人体の動作を5つに分類し提示しています。
① 表象動作(エンブレム)
② 例示動作(イラストレーター)
③ 感情表出動作(アフエクト・ディスプレー)
④ 言語調整動作(レギュレーター)
⑤ 適応動作(アダプター)
人は動作で相手に様々なメッセージを伝えますし、殆んどの場合、言語によるメッセージ以上に、その人の意志や感情が表現されると言われています。
科学の分野では、人の動作についての研究を『動作学(キニーシクス)』と呼びます。
『表象動作』は、言葉によるコミュニケーションが無理な場合や困難な場合に用いられます。野球やサッカー、アメリカンフットボール等の競技等サインを出して選手同士が意思を伝えあいますよね、あれです。
特殊で専門的な職業等では、それが規格化されており、先に挙げた事例等スポーツの世界では審判はジェスチャーによって反則を示したり、ゲームの中断を選手に伝えますよね。誰しもが理解している世界統一規格の動作です。
後1ヶ月もすればロンドンでオリンピックが開催されますが、競技をしない私たちも選手や審判の表象動作を理解しているからこそ楽しく観戦出来る訳です。
第二次世界大戦の時に、イギリスのチャーチル首相がVサインを出して掲げたとき、国民は直ぐにそれが「勝利のサイン」であることを理解しました。
又、ヴェトナム戦争の際にVサインは「平和のサイン」として用いられました。
このように、私たちが使っている言葉同様、新しい表象動作は常に生まれ、修正され、廃棄されていきます。
余談ですが、イギリスの男性が掌を内に向けて顔の前に掲げると、とても卑猥な動作になるのだそうです。
オリンピックを観戦しにイギリスに渡航されるかたは、くれぐれもご注意ください。
アメリカでは、中指を突き出して相手に示すと、「くそくらえ」という強烈な侮辱の表現になりますが、このサインは2000年も使われてきたのだそうです。
アラブ系の人は、掌を下にして中指だけを下に向けて、他の指を相手につき出すと、相手を侮辱するサインになります。
以上の表象動作は映画やテレビ等で私たち日本人も分かるのですが、その国や社会の文化形態の一部として表象動作が定着している場合には、充分に研究した上で海外旅行をせねばとんだ恥をかく場合があります。
南アメリカの国ボリビアでは、男性も女性もいたるところで握手をする光景をみかけるそうです。場所がどこであれ知り合いに出あうと必ず力強く握手をし、特に心のこもった挨拶をする場合等には、「アブラーソ」という抱擁式の挨拶をするのが一般良識なのだそうです。
良く知った者同士が出あうと、「先ず、力強く握手をし、ついで相手の肩越しに右腕を回して背中を叩き、それが終わると又右手で握手する」のが正式の挨拶だとか。
その挨拶を怠ると、相手を人間以下に扱ったということになってしまうのだそうですから、その国の文化に根差した表象動作はしっかり学んで出かけなければいけませんね。
『例示動作』以降については後日また掲載します。
=マジョリー・F・ヴァーガス著「非言語コミュニケーション」より=