LLCグロウイング&コミュニケーションコーチング協会

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「厳しさを忘れた家庭・学校教育」を読んで!

「厳しさを忘れた家庭・学校教育-小児科医の教育診断;冨田和己著」を読みました。
以前ブログで掲載しましたが、ホームページのコラムで改めて皆さんにご紹介したいと思います。

冨田氏は戦後、我が国に入ってきた米国産の様々なイデオロギーが浸透した結果、子どもにとって重要な家庭教育の健全性が損なわれ、本来育まれるべき「正しい子どもの発達」が損なわれているということ。
更に、子どもが社会性等を身に付ける上で最も大切な「学校教育」の失敗を論じています。

『小さいときから体験していくべき数々の通過儀礼を、それぞれの年齢で厳粛に体験させてもらえなかった若者が、成人式をまともに迎えられないのは当然で、大人になる通過を越えられないのです。これこそ家庭・学校教育の失敗を証明した出来事です。伝統的行事、習慣、風習、あるいは式典のもつ荘厳さなどを無視したり、軽んじたりすることで、本当に子どもに必要な教育ができていない「大学入試だけの勉強を重視する」わが国の最近の実情なのです。-第1章より』

そして、母親が育児を苦しいと考え「育児ノイローゼ」について、
『大家族で夫の理解や協力も乏しく、姑等の陰湿な言動の中で、働き手として酷使された昔の母親には、子育てが辛いという思考は殆んどなかったのです。辛いことが多すぎたから子育ては楽しみ、喜びの方が勝っていたのです。私はその時代を肯定しませんし、よいとはいいません。しかし、現代の物分かりのよい夫とわずか2~3人の子どもの育児すら、女性にとって苦労であると騒ぐことは、物のあふれる豊かな時代に生きる母親に、子育ての楽しみ、喜びを感じさせるより、自分は大変辛いことをしていると思い込ませ、家庭教育の悪化を促します。そして些細なことで育児ノイローゼをつくり上げ、わが子といると息がつまり、外に働きに出ないと自立していない、女性の幸せがないと思い込ませていきます。・・・(略)・・・。「子どもを産み、初期の子育てを主に担うことこそ、母性を豊かにもつ女性だから出来るのだ」と感じることは、絶対に男性に出来ない女性の特権でしょう。さらに未来を担う子どもを育てることは、よい社会をつくることにつながりますから、これほど社会的な仕事はありません。女性が家庭から外に出て、他人から月給をもらわないかぎり、自立できていないと考えるのは、社会も自立の意味もわかっていないのです。』
著者は、決して女性が外で働くことに反対しているのではないのですが、外で働かない限り、女性は自立できないと考えている発想が愚かであると主張しています。

この著書のタイトルは「厳しさを忘れた・・」です。
私はピアノの先生や親に対して、子どもの接し方の手法として、コーチングアプローチを推奨していますが、「厳しい・・」という言葉を敢えて使用していません。
その代わりに「勇気付け」であるとか、「傾聴」や「受容」「重視」という言葉を使います。しかし、その言葉だけが独り歩きしてしまいますと、「優しく接すればいい」と誤解されてしまうのではないかと冨田氏に気付かされました。

コーチング手法によって子ども(生徒)と接する場合に「厳しさ」は当然あって然るべきです。
自分の事は自分で行う自立・集団の中での行動・他者の意見を聴く・自己主張をきちっと行う、等などの教育は、子どもを敢えて突き放したり、自分で問題解決を考えさせる厳しさが伴います。行動の結果、子どもに襲い掛かる結末を体験させることは、厳しい教育と言えるものです。
コーチングによる教育アプローチの本質は「大変厳しいもの」だ、と言えます。

GCCAのセミナーは、子どもに接する大人を対象とします。
「厳しさ・・」を突きつけなければならないのは、実は私たち大人(親や先生)であると気づいて頂きたいと思っています。
この著書は多くの示唆を提供してくれます。皆さんも一度是非お読み頂きたいと思います。そして教育というものの本質について考えて頂ければ幸いです。