LLCグロウイング&コミュニケーションコーチング協会

LLCグロウイング&コミュニケーションコーチング協会

LLCグロウイング&コミュニケーションコーチング協会

メニュー

GCCAについて

リーダーについて考える(その1)

今から20年程前の話ですが、中年の男性会社員が両手を挙げて、「今日から俺も、課長だ!!」と叫ぶ、スタミナドリンクのテレビコマーシャルがありました。

私達が学校を卒業し、会社勤めをした場合に、一つの区切りとして目指すのは、「組織の管理職になること」だったような気がします。
勿論、漠然と思い描くといった程度ですし、皆がそうだった訳ではありませんが、しかし多くの人がそう考えていたことも事実です。
新人の時から、上司の厳しい要求に耐えながら歯を食いしばって頑張ってきた訳ですから、自分もその立場に、いつかはなってやるぞという思いが実現した時に、「今日から俺も、課長だ!!」と叫ぶ「中年男」に対して、ある種の切なさとおかしさが混ざった共感を覚えたものでした。
そして現実に「課長」になってからは、更に頑張っちゃうことになりました。課の仕事は全て自分が首を突っ込み、指示を出さねば気がすまないという「モーレツ管理者」が数多く輩出されたのです。

そんな時期に、ある大手企業が面白い研修を実施しました。
40歳になった社員を会社から遥か遠く離れた山間の施設に2週間程、完全に隔離し缶詰にして、勉強させるのです。
研修の意図は、必要な知識を身に付けるということだけではなく、『職場に管理者やベテランがいなくても、職場は活動している』ということを身を持って体験させる事にあったようです。
携帯電話が普及する前の話ですから、研修が終わった夕方には施設の公衆電話の前に長蛇の列が出来ました。
職場への電話で、「何か変わった事はないか?」「自分がいなくても大丈夫か?」と確認するのですが、電話に出た部下からは「大丈夫です!」「順調に仕事は進んでいます」という返事がかえってきます。

そこで『自分がいなくても仕事は回っており、職場は問題なく活動している』という現実を突きつけられるのです。そして自問自答が始まります。
職場の仕事は自分が一番よく分かっているし、誰よりも上手く仕事を処理できる自分がいてこそ仕事は上手く機能するはずだ。だから先頭に立って皆を引っ張ってきたし、それが管理者の仕事だと考えていた。しかし、自分がいなくても職場は機能している。一体俺の仕事とは何なのだ。
そんな葛藤を経て、管理者には管理者でしか出来ない『管理者としての仕事』があるということに気付いてもらいたいということが研修の意図だったのです。

今日殆どの企業では、管理者志向・専門職志向等々、複線型のキャリア制度を採用しており、自分の目指したい立場を選択出来るようになっていますし、バブル経済崩壊の後、人員削減や合理化の嵐が吹き荒れて、企業では管理者も社員も汗まみれになって働かねば立ちゆかないという時代になりました。

課長さんはデスクに座って、コーヒーを飲みながら新聞をゆっくり読んで、なんていう風景は既にありません。
好景気と不景気のそれぞれの環境下で、課長さんに期待されることは変化しつつ、結局は同じことを繰り返している様に思うのですが。
企業の管理者の普遍的な役割っていったい何なのでしょうか。
管理者がいないと集団や組織は動きえないものなのでしょうか。
企業でなくとも、様々な集団にはリーダーが存在する場合が殆どですが、その場合のリーダーの本質的な役割は何なのでしょうか。
人類が集団を形成し、生きていた大昔はどうだったのでしょうか。
リーダーということについて考えていきたいと思います。