GCCAについて
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『ことばならざることば』非言語コミュニケーション、人体動作による表現行動の二番目、例示動作(イラストレーター)について。
エックマンとフリーセンの分類した二つ目の『例示動作』は話しことばを強調するために用いる動作のことです。
身を乗り出したり、机をたたいて話を強調するような行為は例示動作ですし、右手の人差指と左手の人差指を目の前に突き出しながら「二つの方法が考えられます」等と聴き手に方法が二つあることを示しながら説明するのも例示動作です。
私のセミナーにご参加頂いた方は、私がいかに例示動作の多い講師であるかを良くご存知だと思います。
又、見知らぬ人に駅までの道を尋ねられた時に、ゆく道を人差指で示しながら、「あの信号を左に曲がって、少し行ったところのコンビニを更に右に曲がれば突きあたりが駅です」等と説明しながら腕や指を回したり折り曲げて説明する動作も例示動作です。
これらの例示動作は1番目の表象動作のように意識して使うというよりは、どちらかというと自然に話に付随してきます。
それらの動作はほぼ自然に出てはきますが、文化や社会によってその動作は違った動作になることを理解する必要があります。
例えば、アラブ人は頭を横に振っていると、それは「ノー」ではなく「イエス」であり、「ノー」を表現する場合には、頭を少し上に向けて、軽く舌打ちするのだそうです。
行動形態分類の3番目は『感情表出動作』です。
これはメッセージを込めた顔の表情のことですが、顔以外でもジェスチャーすることで、心の中にある感情等を表現します。
私が阪神タイガースファンであることはブログをお読み頂いている方はご承知だろうと思いますが、甲子園球場に観戦に出かけると、周囲の全ての人達の顔や体の動きによる感情表出動作を観察することが出来ます。
金本選手がチャンスでタイムリーヒットを打った時には、口ぐちに「ヤッター」と大きな笑顔で手を高く掲げて拍手します。と同時に立ちあがって何度も何度も万歳をします。これらの動きは決して他者に何かを伝達したい訳ではありませんが、たまたま隣に対戦相手の巨人ファンが座っていれば、その人には「私が阪神を応援している」ことが伝わります。
感情表出動作の研究では、大変多くの時間と努力が費やされた結果、顔の表情によって他者に伝わる感情は8つプラス2ツの僅か10程度しかないことが分かっています。
それは、「幸福」「驚き」「怖れ」「怒り」「悲しみ」「不快」「軽蔑」「興味」「当惑」「決意」なのだそうです。
しかし、人間の感情を表現する言葉はここで分類された10程度のものではありません。はるかに多い数の感情表現の言語があります。
相手の顔の表情だけを眺めているだけでは正確に感情を読み取ることは難しいということが分かります。
甲子園球場で金本選手がヒットを打った時の私の表情は「喜び」×「驚き」×「幸せ」だったでしょう。巨人ファンの方が私の表情を読み取れたのは甲子園球場で実際に試合をみているという「状況」があったからです。
つまり伝達されるメッセージはすべてにおいて、「状況」の中で考慮され、そして解読されるということが分かります。
ある実験で、「失望」を被験者に表現してもらってビデオに収め、その後「疲労困ぱい」の表情もビデオに収めて、他者に観てもらった結果、被験者と親しい人であっても、その区別は殆んどつきませんでした。
人は感情表出動作によって、自分の気持ちを表現しますが、その意味を正確に理解するためには、限られた動作による情報以上のものを読み取る必要があるということなのです。
俳優の力量は演技力すなわち創り上げる顔や体の動きで感情表現することだと言われます。
「北の国から2002遺言」には様々な名シーンがありますが、中畑のおじさん役の地井武男さんが演じた「涙のシーン」見事には感情表出した演技であると思います。何故なら観る者に中畑のおじさんの心の中が伝わってきたからです。
感情表出動作を読み取るのは実は大変難しいことですが、日常生活で私たちは状況の中で相手の動作を観察しながら心の中を理解する努力をせねばならないことに気づきます。
=マジョリー・F・ヴァーガス著「非言語コミュニケーション」より=